冷徹執事様はCEO!?
「着いたよ」

バイクがようやく停まると私はゆっくりと目を開けた。

「此処は…?」何処かの地下駐車場のようだ

「駐車場」

いや、それは解ってる。

田中はバイクから降りるとヘルメットのベルトを緩めて脱がせてくれた。

「バイクの感想は?」

「悪くなかったわ」私は強張った表情で言う。

その表情を見て、田中はクスリと微む。強がりがバレているのだろう。

私の手を取り、バイクから降ろしてくれた。

「行こう」そのまま手を繋いで、駐車場の出口まで歩いて行く。

エレベーターに乗ると、最上階の10階でエレベーターは止まった。

ドアが開くと、部屋がズラリと並ぶ広々とした屋外の通路に出る。どうやらマンションのようだ。

田中は一番突き当たりの部屋まで来ると慣れた手つきで鍵を開ける。

「どうぞ」ドアを開くと中に入るよう促された。

玄関の床は白い大理石風のタイルが貼られ、片側は一面ブラウンウッドのシューズクローゼットになっている。

田中が扉を開くとスニーカーから革靴まで様々な靴が几帳面に並べられていた。

白いレザーのスリッパを揃えて出してくれる。

「お邪魔します」私はぺこりと頭を下げおずおずと中に入って行く。
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