冷徹執事様はCEO!?
「私は疲れました。燁子様はクーラーの効いた部屋でぐーすか寝ていたのかもしれませんがその間も、夕飯の下拵えや、洗車に書面のチェックなど私は休みなく働き続けておりました。暑いので喉もカラカラです」

「わかったわよ」

有無を言わさぬ口調に私は押されて同意する。

近くのチェーン展開しているコーヒーショップに入った。

ソファー席で座って待っていると、田中がトレイにアイスコーヒーとマンゴーフロートを載せて席へ戻って来た。

ちなみに私がアイスコーヒー、田中がマンゴーである。

「ありがとう」私はアイスコーヒーを受け取って一口飲む。

「ん、美味しい」思わず私が頬を緩めると、つられて田中もにこりと微笑む。

私はハッとして慌てて口元を引き締めた。

冷たい飲み物を飲むといくらか気分が良くなって来た。

「燁子さまは意地っ張りですね」

「そうかしら」

「もっと素直に甘えて頂いて結構です。そのための使用人なんですから」

なによ、田中のくせに、優しいこと言ってくれちゃって。

不覚にも私は胸がジンとしてしまう。
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