冷徹執事様はCEO!?
家に帰ると、田中と二人で夕飯の支度に取り掛かる。

今晩は庭の畑で収穫したばかり夏野菜のかき揚げと、茄子の煮浸しに冷麦だ。

「ねえ、どうせならテラスで食べない?」

「承知しました」

私の思いつきに田中は手早く支度を整える。

テラスに置かれている木製のテーブルにクロスを掛けて、ランプを置いてくれた。

ぬかりなく、蚊取り線香まで焚いてある。

夜風に吹かれて、森を眺めながらディナーをとるには、一人では味気ないので田中と一緒に食べることにした。

「さくさくー」かき揚げを頬張りビールでグビリと流し込む。私は満面の笑みを浮かべる。

田中はそろりと冷麦をすくってお上品に啜る。

「田中もビール飲んだら?」

「いや、仕事中ですので」

「もう、定時過ぎてるじゃなーい!」私は有無を言わさずグラスビールを注ぐ。

「では、勤務時間外と言うことで」

私がニッコリ笑って頷くと、田中はグラスのビールを一気に飲み干した。

きっと酒飲みだろう。酒の誘いは断れない同類の匂いを感じた。
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