冷徹執事様はCEO!?
「立派な人生を着実に歩んでるあの人達に離婚の話しをしたって、相変わらず困った奴だ、くらいしか思わないよ」

私は自嘲気味笑いながら言う。

昔から私はなんでも器用にこなすパーフェクトな兄弟の中で落ちこぼれだった。

「そうでしょうか。ドジで意地っ張りで我儘で天真爛漫な燁子様が傷ついているのではないかと皆さん心配されるのではないでしょうか」

心配してくれているようだけど、ほぼ悪口だ。

「両親にはこの家に戻ったのだから電話で報告するわ。だけど兄弟達には折を見て話せばいいから」

田中は何か言いたそうにじっと私を見つめたが「わかりました」とだけ言って、お酌をしてくれた。
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