冷徹執事様はCEO!?
「田中さん見ませんでした?」

「今日は出勤した時に見たきりねえ。部屋に篭ってパソコンでもしてるんじゃない?事務処理があるのか、たまにそうゆう日があるのよねえ」

「田中さんの自室は何処ですか?」

そう言えば、田中はこの家を住み込みで管理していたのを思い出す。

いつも何処からともなくふらりと姿を現すので、自室で寛いでいる姿など考えた事もなかった。

「燁子さんは知らなかったの?大広間の階段上がって、右に曲がり3つ目の部屋よ」

「ああ、ゲストルームか」

「なあに、田中さんがいないとやっぱり物足りない?」

「というか、暇で暇で」

「田中さん、男前だもんねえ。愛想は全くないけど。一緒に遊んでもらうといいわよ」

喜久田さんはからっと笑いながら言う

「ありがとうございます」

喜久田さんに別れを告げると教えてもらった部屋に早速向かう。

ドアの前まで来ると私は咳払いをしてノックした。

「どうぞ」ドアの向こうから愛想のない田中の声が聞こえた。

私はドアを開けてそろりと中に入っていく。
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