冷徹執事様はCEO!?
田中は此方に背を向けて、窓際に置かれたデスクの前に座っていた。

驚くべきことに3台のモニターに囲まれて一心不乱に高速でキーボードを叩いている。

「なにしてるの?」

私はニュッと首を伸ばしモニターを覗き込むと、数字が羅列されている

田中はまさかの私登場で、ギョッとした表情でこちらにふりかえった。

「株?」

デイトレードのようだ。勤務中に株かよ。

「旦那さまの持ち株管理も仕事のうちですので」

「ふうん」

「今は取り込み中です」

田中は画面に視線を戻し素っ気ない口調で言う。

「じゃあ待ってる」

私は田中の部屋をぐるりと見渡す。

セミダブルのベッドとテレビ、黒い2人がけのソファーの隣にはオーディオセットが置かれている。

本棚には書籍とCDがズラリと並んでいた。

本は経済書とビジネス書が多く、CDはロックからジャズ、クラッシックまで様々なジャンルが揃っている。

とことん意外性がない部屋ね。

私はふざけてベッドに寝そべる。

「ねえ、田中、退屈なの。お相手してくださる?」
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