冷徹執事様はCEO!?
「賭けをしましょう」

「賭け?」

「そうです。負けたら勝った方の言うことを一つ何でも聞く、と言うのはどうですか?」

田中は漆黒の瞳でジッと私を見つめる。
どうやらマジで言っているようだ。

勝ったら、田中に箱根の別荘まで連れて行ってもらおうかな。

負けたら?

田中は性格が悪いので、何をさせられるか気が知れない。

「あれ?自信がありませんか?」

田中は口の端を上げて、ニヤリと挑発的な笑みを浮かべる。

「… やるわよ!」

思わずムキになり、コントローラを再び手に取った。

「キャラ変えますねー」

田中は素早く画面を切り替えると、金髪美女から黒髪の格闘家にキャラクターをチェンジする。

何か嫌な予感…。

そしてそれは見事に的中する。

ゲームがスタートすると、黒髪の格闘家はクリティカルな技を連発させる。

さっきの金髪美女の時とは動きが大違いで、私は防戦一方だ。

「やっぱり性格悪いな!」

「口が悪いですよ、元お嬢様」

なんとか拳をもろに食らった黒人ボクサーは倒れかかったところに鳩尾蹴りをくらい呆気なくKOとなった。
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