冷徹執事様はCEO!?
そりゃそうだ。

こんな豪邸に住んでたお嬢さんが---自分で言うのは恥ずかしいけど---公共の交通機関を使うなんて信じられないだろう。

しかし男は直ぐに、元のポーカーフェースに戻る。

「其れでしたら、駅からご連絡を頂ければお迎えに伺いましたのに」

「其れはそうなんですが」

そうもいかない事情がありまして。

とは言えず 、私は曖昧に答えニヤニヤと笑って誤魔化す。


「燁子様は結婚されてから全くこちらにお戻りになったことがないと伺っておりましたが」

男は私の身なりをチラリと一瞥する。



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