冷徹執事様はCEO!?
「どうして?あんた達順調だったじゃない」

真巳は眉根を寄せた。

「私もそう思ってたよ。でも信夫に赤ちゃんができたみたいで」

「いま妊娠中なの?」

「まっさかー」私はあははっと笑う。

「外に子ども作ったのよ。あの馬鹿は」

私は吐き捨てるように言った。

「オーマイガッ」

真巳は両手で口元を抑えて息を飲む。

「あんた…あんなに努力してたじゃない。何にも出来なかったお嬢さんが、スーパーのタイムセールの時間まで把握するくらい節約家になって」

「で、節約したお金で信夫が外車とか買っちゃうのよね」

私はて遠い目をして、あははーと空笑いする。

「もう少しで刺すとこだったわ」

「燁子が刺さなくても、そのうち誰かが刺すでしょ?」

真巳は苛立だしげに眉間にギュっと皺を寄せた。

「もう顔のいい男は懲り懲だわ」私は小さくため息をついた。

「慰謝料請求しなさい!相手の女にも!」

「でも、赤ちゃんが出来たら信夫も物入りになるでしょ」

「そんなの知ったこっちゃない!燁子は傷ついたんだから、其れなりの償いをさせるべきよ!」

「でも、私は赤ちゃんを産めなかったから」
私は自嘲気味に笑いながら言う。

「其れは関係ありませんね」

背後から男性の声が聞こえて来た。
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