冷徹執事様はCEO!?

「きちんと慰謝料をとってを制裁を受けないと、信夫はまた同じ事をしますよ。無責任な事をするにはそれなりのリスクがある事を教えてあげなければ、引いては産まれてくる子の為にならない」

甘く低い声に、この抑揚のない話し方。さっき迄ずっと一緒にいた。

「うーん、…えーと」

振り返ればそこに田中がいた。

「浮気する男は一生するし、しない男は一生しません」

「こんな所に来てまでありがとう、田中」私はにこりと微笑む。

「イエ」田中は人差し指で眼鏡を上げた。

田中は何事もなかったように再び前に向き直る。

「え…誰？知り合い？」

真巳はギョッとした視線を田中に向けている。

見知らぬ男の突然の介入にちょっと怯えているようだ。

「今のはうちの執事」

「ああ、執事ね」

私は立ち上がり、後ろに振り向く。

「って！なんであんたが此処にいるの！田中！」

「其れは、此方の台詞です。まさか跡を付けて来た訳じゃありませんよね」

「私がそんな暇に見える？！」

「はい」田中はキッパリと答えた。

まあ、言い返せないなわな。

「稜、知り合いか？」

田中の向かいに座った男が尋ねる。