冷徹執事様はCEO!?
「稜、とりあえず美しい人達に紹介してよ」

「ああ…」田中は嫌そうに眉を顰める。

相変わらず社交辞令というものを知らない無礼な男だ。

「こちら、大学時代の友人で藤原駆です」

「始めまして」

藤原氏はニコリと微笑む。笑顔も爽やかでいい感じ。

「此方は私のお嬢さんで葛城燁子さんだ」

私の、って、何だか田中のものみたいな言い方だ。

ちょっと気になったけど深い意味はないだろう。

「始めまして」藤原氏は男前なので私は、はにかんだ。

「此方は…」田中はチラリと真巳に視線を向ける。

「燁子の学生時代からの友人で音羽真巳と申します」

真巳は花のように可憐な笑みを浮かべた。

「では自己紹介も済んだ事ですし、行きましょうか」藤原氏が言う。

乗り気の真巳と藤原氏とは裏腹に私は鼻の頭に皺を寄せる。

田中はいつも通り無表情で心中を伺い知る事は出来なかった。
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