冷徹執事様はCEO!?
「お二人はどんな感じだったんですか?」今度は田中が真巳に尋ねた。

「私はそこそこ優秀、燁子は…まあ残念というか」真巳は言葉を濁す

「この子は、幼稚舎からのエスカレーター式で、私は外部受験をしたから、大学から一緒だったの。燁子が葛城のお嬢さんって聞いた時には驚いたわよ。純粋で素直で全然気どったところがなかったから」

真巳はクスリと笑った。

「真巳だって金髪のショートカットだったじゃない」

「ホラ、私は稼業もあるからね」

「真巳さんもお嬢さんなの?」藤原が尋ねる。

「この子は山の手テーラーの跡継ぎよ」私はプチシューをつまみながら言う。

「ああ、銀座にある老舗の」田中が反応する。

「燁子とは海外の短期留学でアメリカに言った時、意気投合したのよね」

真巳が引ったくりにあいそうになっていたところを、通りかかった私が偶然見つけ、慌てて助けに駆けつけた。

二人で撃退した時の話しをして、私と真巳はクスクス笑い合う。

「燁子は昔っから無鉄砲だったよね。それに我儘で強情っぱり」

真巳はふう、とため息を着いた。

「自分だってそうじゃない」
私はすかさず異議申し立てる。
お嬢様、というのはきっとそういうものなのだ…多分。

「ああ、それ解ります」田中がすかさず同意した。

「そうかと思うと、PASMOの使い方も知らないし、料理も出来ない、という世間知らずな一面もあった」

「でしょうね」いちいち田中が同意するのがウザい。

「当時、カメラマンの助手をしていた信夫さんに出会って、すぐに夢中になってね。物凄くハンサムだったから」

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