冷徹執事様はCEO!?
ああ、値踏されたな。

こういう視線は昔を思いだす。

嫌でたまらなかったあの頃を。

きっとこの男は私が纏っている色褪せたデニムと、くたびれたTシャツを安物だと瞬時で判断した事だろう。

そして、疑い警戒している。

燁子の名を語る頭のおかしい女だと。

小さくため息を付いて、私はスーツケースから手を離す。

胸の前で腕を組むと、ツカツカと男の前に気取って歩み寄る。




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