冷徹執事様はCEO!?
「あ、お父さん?晴子ですー」

祈る甲斐なく、あっと言う間に繋がった。

「今大丈夫?…ああ、よかった。燁子が大事な報告があるみたいで。うん、今代わるねー」

晴子姉さんは私の頬にぐりっと携帯を押し付けた。

「ほら!」

鋭い視線に逆らえる訳もなく、携帯を受け取る。

「…パパ?」

『燁子か。珍しいな。どうした』

久しぶりに声を聞いたら胸がジンと熱くなる。

「パパ…私、離婚しました」

不意打ちでパパに爆弾を投下した。受話器の向こうで絶句しているのがわかる。

「でもって、実家に戻ってきちゃった」

鉛のように重苦しい数秒間の沈黙。

ふと田中の方に振り返ると、バチリと視線が合う。

田中はゆっくりと大きく頷いた。「大丈夫」だと言うように。



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