冷徹執事様はCEO!?
『… それで、お前は大丈夫なのか』

ようやくパパは重い口を開いた。

「うん、大丈夫。晴子姉さん達も来てくれたし」

『お前がその気ならいつまでいても構わない。其処はお前の家なんだから』

「パ…パパ…」

想定外の優しい言葉に思わず目頭が熱くなる。

『幸い我が家は広い』

「広すぎるよ」思わず笑ってしまった。

「勝手な事ばかりしてごめんなさい」

『私も勝手だからな』

確かにな、と言いたいが機嫌を損ねてはいけない。

ここは敢えて笑って流した。

『落ち着いたら、今後の話しをするために日本に一旦帰る。少々先になりそうだが』

「うん、大丈夫よ。私もお金と時間に余裕が出来たら、オランダに遊びに行くわ」

『何かあれば田中君に言いなさい。生活費は全て彼に任せている。困った時にはきっと力になってくれるから』

「ありがとう、パパ。愛してる」

『うん、わかった』

パパはぶっきらぼうに言う。

きっと受話器の向こうで照れているに違いない。

また何かあったら連絡するように、と言って電話は切れた。
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