冷徹執事様はCEO!?
「だが、定期的に人をやって様子を見よう。どうせあの手の男は一生変わらない」

「監視下にあるって事?」航生が訊ねる。

「大袈裟だなー航生。月に一回人をやって徹底的に身辺を調べあげるってだけだぞ?」

「そういうの僕の得意分野じゃないか」

航生は嬉しそうにニッコリと微笑んだ。

「じゃあ、身辺調査はお願いしちゃってもいいかな?」

タモさんばりの気楽さで匠ちゃんが尋ねると「いいとも!」と航生はお決まりの台詞で返した。

駄目だ…全然納得してなかった。

なんだか頭がズキズキして私は頭を抱え込んだ。

「田中、ワインを頂戴」

「畏まりました」

一礼すると田中はワインを取りにリビングから出て行く。

「田中さんって随分綺麗な人ね」

晴子姉さんは田中の後ろ姿を見てしみじみ言う。

「今、この家には2人しか住んでないのよねえ」

「うん。家政婦さんは通いだから」

「ふうん、何だか淫靡な感じだわね」

晴子姉さんは意味あり気にニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

「別に何もないよ」

私はぐるりと目を回す。

この手の好奇な視線には懲り懲りだ。
< 84 / 277 >

この作品をシェア

pagetop