冷徹執事様はCEO!?
「まさか、逆玉の輿を狙って、ちょっかい出されたりしてないよね」

航生は訝しげな視線を私に向けてきた。

「ないない」私は手をパタパタと横に振る。

「そうだぞー、航生。燁子は年増の上にバツイチだ。その上、下手に手出ししたら小舅達の逆鱗にも触れる」

「確かに、男からすればこんな厄介な物件はないねえ」

航生は納得したように言う。

「田中さんだって、どうせ逆玉狙うなら初婚の若い子狙うだろー」

匠ちゃんはあははっと悪びれなく笑う。

「ちょっと待ってよ!田中だって私の人間的魅力に惚れちゃうかもしれないじゃない!」

「ないない」と匠ちゃん。

「葛城家の魅力を差し引いたら、それこそ若い子の方がいいでしょ」航生も頷く。

「大丈夫よ、燁子」晴子姉さんまで全否定。

「私の魅力って、家柄だけ?!」

「何言ってんだ。普通の男からすれば葛城家がバックにつくってのは相当な魅力だぞ。ただ、田中さんは更に上を選べるから敢えてお前にはいかないってだけだ」

「私が振られた、みたいな話になってるけど別に何もないから」

私がしつこく念押しする。

「うん、もう心配してないよ」

航生はニッコリと晴れやかな笑みを浮かべる。

「あっそう」それはそれで、女子としての魅力なし、と言われているようで、なんとなく面白くない。
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