冷徹執事様はCEO!?
「田中、やってくれたわね」

私はチラリと横目で睨む。

「差し出がましい真似をして申し訳ありませんでした」

「ううん、私がグズグズしてたから」

「其れはそうですが」

だから否定しろって…。

私は心中で突っ込む。

「ありがとう」

私はぺこりと頭を下げた。

「ご兄弟にとても愛されているじゃないですか」

「そうだね、そうだった」

呆れられるかと思ったけど、みんな心から心配して慰めてくれた。

私は信夫に裏切られたショックで人を信じられず自分の殻に閉じこもっていた。

それを破ってくれたのは悔しいけど他ならぬ性悪で無愛想な執事だった。

「ワインが残ってるわね。田中、お相手してくださる」

「よろこんで」

田中はにこりと微笑んだ。
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