狼少年と一人の少女。
なんだってんのよ。
教室がオレンジ色に染まる頃。
「え?隣のクラスに?」
私は友達の心遥と話していた。
もう1時間はたったかもしれない。
「そう。あの狼が!」
少し興奮しながら話してくる。
狼っていうのは、ここら辺ではけっこう有名なヤツ。
髪の毛は銀色で、つり目。
背は高いし、いつもムスっとしてる。
「えー、こわいね」
うなだれてぽつりと呟く。
「怖がらなくても大丈夫!いざとなればあたしが柚愛をまもってあげるから!」
胸をはってそういう心遥を見る。
そういうけど心遥なんてアテになんないよ…
「そういえば新発売のメロンパンおいしかったよ」
「あ!ちょっと、あたしの話無視したでしょ?」
なぜか説教をしはじめたのは横目に時計をみる。
「もう18時30分じゃん!坂本におこられる〜」
「ちょっとはあたしの話も聞いてよ!」
私が急いで教室からでると、あわてて心遥もついてきた。