狼少年と一人の少女。





後ろで何か言ってる心遥を無視して靴に履き替えてると、外で誰か立っているのが見える。


「や、やばいよ」


後ろに引っ付いてくる心遥をちらっと見ると指をさしている。

さっき話してた狼?

さっき怖いと言ったものの喧嘩には絶対の自信がある。
心遥には内緒にしてるけど。


「ま、目を合わせなければよほど大丈夫でしょ」


ああいう奴はさっさと歩いて通り過ぎちゃえば関わることないから。


「ねえ」


銀髪、いや狼が声を出した。

明らかに私の方を見ている。
嘘でしょ?まさか中学の時に喧嘩したヤツ?

だとしたら絶対覚えてない。


「何か私に用?」


横目で狼を見る。


「ちょっとちょっと!そんな態度じゃぼっこぼこにされちゃうよ!」


耳元で大慌てしてる心遥をよそに見つめあうこと5分。


結局狼は何も話さなかった。




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