君色〜キミイロ〜
―ガチャ……
「久しぶりだな…ツトム。」
「…お久しぶりです。」
顔は見えないけど…
たぶん橘さんめっちゃ表情固い。
いつものあのほんわかした空気じゃなくて
すっごく冷たくて重い空気が
二人の間には立ち込めてた。
私は部屋のドアからちらっと広樹さんを見た。
―かっ…かっこいい…
不覚にも思ってしまった。
橘さんのような優しい感じでは無いけれど
切れ長の目に短めの黒髪。
黒のスーツが,なんかすごく大人っぽさをかもしだしてる。
まさに頼れる男って感じ。
「ツトム,卒業フェスティバル出るんだってな?絵里から聞いた。」
「あっ…はい。絵里言ってたんだ…。」
しばらくの沈黙。
聞いてるこっちがヒヤヒヤしちゃう。
この沈黙を破ったのは広樹さんだった。
「なぁ…ツトム。実はさ…俺またフェスティバル出るんだ。」
「…え…?」
私も驚く。
だって…広樹さんてもう卒業したんじゃないの?