君色〜キミイロ〜


「特別枠。今年から卒業生も参加出来るようになったらしいんだ。それで…せっかくだから先生から出ないかって言われてさ。」


「そうなんすか…そしたら…」


たぶん橘さんが今から言おうとすることはわかる。


私は廊下の絵に目を向けた。


「…そしたら…美咲も出るんですか?」


「…うん。美咲に出てもらう。」



―ズキン……


心臓がまた痛む。


これは…私だけかな?


橘さんの寂しげな背中を見つめ
そう感じた。


ううん。たぶん…


この痛みを一番感じてるのは橘さんだよ。


「そうっすか…。じゃあ…会場でまた広樹さんに会えるんですね。」


「うん。お互い頑張ろうな。
お前…モデルは?」


えっ…そこ聞くの?


やばい…橘さんなんて言うんだろ…


不安になって部屋に体をもどそうとすると…
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