君色〜キミイロ〜


『ツトム…?』


「そうだけど…」


『やっと…出てくれた…』


「…なんの用事?」


橘さんは冷たく言い放った。


青い瞳が橘さんの表情を怖く見せた。


いつもはあんなに優しいのに…


それほどの過去の痛みを感じた。


『封筒…もらわなかったの?』


「封…筒?」


――ドキッ!


私が持ってるやつだ…


『ツトムの知り合い…モデルさんに渡したんだけど…』


「えっ?」


橘さんはひどく驚いた顔をして私を見た。


「美咲…莉緒ちゃんに会ったのか?」


その言葉は逆に「莉緒ちゃん…美咲に会ったのか?」

って言われてる気がして


怖くなった私は目を瞑って頷いた。


< 183 / 289 >

この作品をシェア

pagetop