君色〜キミイロ〜
弱くない…弱くないよ?
裏切られた悲しみを,私達はお互い背負ってたんだ。
でも橘さんの悲しみは…私より何倍も…いや何百倍も辛いんだ。
「莉緒ちゃん…ごめん。もっと莉緒ちゃんを守りたいのに…俺がこんな弱くて…」
「弱くないよ…!」
「え…?」
顔を上げると泣きそうだから
抱きついたまま話した。
「過去の辛さを乗り越えて生きてる橘さんは,弱くなんかない!
…弱いのは…美咲さんのほうだよ…」
「莉緒ちゃん…」
「私はもう十分守られてる。
卒業イベント…成功させようよ!橘さんっ!!」
今なら笑えると思って顔を上げたのに…
橘さんの目には綺麗な涙が浮かんでた。