君色〜キミイロ〜


「俺には今,誰よりも大切だと思える人がいる。俺を絶望の縁から救ってくれた人がいるんだ。


だから…その人のことを傷つけたくない。大切だから悲しませたくない。…って言ったの。」


「橘さんが…?ほんとに…?」


美咲さんはそのまま続ける。


「私が,今のモデルさん?って聞いたらね?」


「聞いたら…?」


「ううん,モデルじゃない。
“恋人”の宮崎莉緒だって言ったの。」


こ…恋人ーっ!?!?


橘さん,美咲さんにそう言ったの?


「莉緒さん…相当愛されてるわね。…あ!次出番じゃない?」


「へっ!?」


振り返ると,私の前のモデルさんはいなくて…


私の出番になっていた。


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