君色〜キミイロ〜



「莉緒〜,なにニヤけてんのよ〜」

前を向いていたはずのユリがいきなり後ろを向いていた。


「はっ!?ニ…ニヤけてないしっ!!」

私はひそひそ声で必死に抵抗した。


「うそだぁ〜,絶っ対ニヤけてた!!教えなさいよぉ〜!!!」


「ちょっ…ユリ!!!」


ユリが私の肩をがくがくと揺らすもんだから思わず声がでかくなる。
さすがに後ろの席でもばれるからぁ〜。


―キーンコーンカーンコーン


「た…助かった…」


「莉緒が私に隠し事なんて100年早いのよ…ってちょっと莉緒!?」


ユリの目を盗んで私は慌てて教室を出た。


「今日は用事があるの!!また明日ね〜!!」


早く行かなきゃ!
橘さんがもう来てるかもしれない。


一気に下駄箱まで階段をかけ降りた。



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