君色〜キミイロ〜


今…何時…?


目が覚めて見えたのは
見覚えのない天井。


かすかにコロンの香りがする。


「ん……」


ゆっくりと体を起こすと



「あっ!目覚めた?」


そこには橘さんの姿が。


「私…何でここに?」


「えっ!覚えてないのっ!?莉緒ちゃんが俺に抱きついてきて…そのまま…」


「う…嘘だっ!」


「うん,嘘♪」


また騙したな〜〜!!


「違くて。莉緒ちゃんの学校まで迎えに行ったらさ,莉緒ちゃんめっちゃ泣いてて…俺が駆け寄ったら俺に倒れるように抱きついてね。そのまま俺ん家まで運んだの。」


「そうだったんだ…迷惑かけてごめんなさい…」


私,橘さんにまたお世話になっちゃったんだ。


「迷惑だなんて。逆に抱きついてきてくれて嬉しかったけど♪」


「……」


にやりと笑う橘さんにまた太刀打ちできない私。
何でこう,恥ずかしいことを
さらっと言えちゃうかな。





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