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ここまで来れば、声は届く……。


一列空いたところで少年は立ち止まったけれど、声が聞こえないほどの距離ではなかった。


ゆっくりと深呼吸をする際、


「なあ」


と彼女に呼びかける短い一言のためだけに、大量の空気を吸い込んだ。


しかしその言葉を発そうとしたところで、


「ねえねえ」


と邪魔者が入る。


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