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「シイナ」
帰ろうとしたそんなとき、誰かが背後から私の名前を呼んだ。
振り向く必要なんてない。高校二年生になってからクラスは離れてしまったけれど、その声がミオのものだということは振り向かずともすぐにわかる。
だけど呼ばれたのだから、それを無視するわけにはいかない。
私はそっと振り返る。
私を呼ぶ声は朗らかだったのだが、彼女の表情は笑っていなかった。
いや違う。
正確に言えば微笑んでいた。だけど、その瞳だけは笑ってなどいなかった。
「…………?」
「ちょっと来てくれない?」
突然の呼び出し。
なんとなく。
なんとなくだけれど、嫌な予感がした。不安が残る中ミオのあとをついて行き、辿り着いた場所は学校の屋上だった。