Delete



誰だよと思いつつ、声のした方を睨んだ。


するとそこには、最近まで彼女と仲良くしていた女子生徒がいた。


少年はその場所で彼女をじっと見ていたけれど、その少女の目線は完全に少年がたった今話しかけようとしていた彼女に向けられていた。


「あ、ミオ」


彼女は、その女子生徒を“ミオ”と呼んだ。


「昼休みに話すのって久しぶりだね。どうしたの?」


ニコニコと微笑みながら彼女は尋ねた。


何気ない言葉。


彼女から遠ざかりながら2人の様子を見ていた少年にとっては、そんな彼女の言葉が何らかのメッセージ性を持っているように思えた。


少年には、彼女の笑顔がなぜかとてもつらそうに見えたのだ。


< 110 / 331 >

この作品をシェア

pagetop