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第2話 6月20日"始まり"
――――――。
「起きなさいシイナ。いつまで寝てるの」
聞き慣れたお母さんの声が耳に届いた。
同時に肌にかすかな風を感じ、それが私の目をより一層覚まさせた。
初めに見たのは壁――というより天井だった。私はベッドで寝ていたのだとそのときになって初めて気がついた。
がばっと身体を起こし、そう広くない部屋を隅々まで見渡した。
見た感じ病院ではなかった。
薄い水色の爽やかな色をしたカーテン。
壁には何枚もの写真が飾られている。
よく見ると、私と私の親友のミオが肩を並べて一緒にピースサインをしていた。このときは、彼女は私の親友だとまだ心から思っていたんだっけ。
勉強机と思われるものには、学校で使うような教科書らしきものが並んでいたり積み重なっていたりしていた。
……間違いない。
私の部屋だ。