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「俺はあの場所の近くから偶然見たんだ。で、ついさっきお前は死んだ」


彼の言葉をきっかけに、彼女にあったさまざまな感情や表情が一瞬にして消え去った。


当たり前だ。


自分が死んでいるなんてことを前置きもなく言われたら、誰だって驚くし、放心状態にもなる。


リックは一つ一つの説明が必要だと考えた。


順にたどっていけばそのうち思い出すこともあるだろう。


「目を覚ます前のこと、覚えてるか?」


気持ちがまだ落ち着いていないのだろう、彼女は頭を横に振って答えるだけだった。


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