Delete



彼女は、死んだはずの自分がここに存在していることを確かめるように、自身の手を見てその感触を感じながら尋ねた。


「死んだ私がどうしてまた生きてるの……?」


自分が死んだことを知っているのならば、今こうして生きている理由も彼は知っているはず。


しかし彼女の思うような答えは返ってこなかった。


「生き返ってまでやらなきゃいけないことがあるんだろ。まあ死ぬ直前に何か強い思いが芽生えてたみたいだし」


「それがどんなことか知ってるの?」


無論リックは知っている。


実際に彼女の声を聞いたから。


だけどそれは、彼女自身が自分で気づくべきこと。


教えたところで意味はない。


< 164 / 331 >

この作品をシェア

pagetop