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だけど、私はここにいる。私はここに存在している。
死んでいるなら、どうして。
「死んだはずの私がどうしてまた生きてるの……?」
「いい質問ですね」池上彰氏のような言葉が返ってきた。
彼なりに場を明るくしてくれているんだということはなんとなくわかっているのだけれど、
「そんなのいいから。答えて」
だからといって最大の疑問が消えるわけでもないから、とにかくこのモヤモヤを消してほしかった私は、そう言って冷たく流した。
「……生き返ってまでやらなきゃいけないことがあるんだろ。まあ死ぬ直前に何か強い思いが芽生えてたみたいだし」
口調は相変わらず軽いけれど、今度はちゃんと答えてくれた。
「それがどんなことか知ってるの?」
そう尋ねて返ってきたのは、「もちろん」という短い言葉だけだった。ただ頷くだけで、内容は教えてくれなかった。
知りたいのなら自分で思い出せ。その一言にはそういう意味も含まれているのだと思った。