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「私、リックに嘘ついたんだよ……?なのにどうして何も言わないの」
「アホか」
短く放たれた一言。
それが私を非難する言葉であったとしても、とても優しくて温かかった。
「俺はお前が嘘をついたとは思ってねえし、そもそも俺がお前を責める権利なんてねえから」
つらいはずだ。
リックが一番苦しいはずだ。
きっとこの言葉も、私を安心させようとして言ったものに違いない。
それが余計に罪悪感を抱かせる。
その罪悪感を抱えきれなくなったのか、目からは涙が頬を伝って流れた。
リックはスタスタと階段を下りていくけれど、私はその場から動けなかった。