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6月25日。


どこまでも続く大きくて真っ青な空で、自分の存在を主張するかのように太陽が輝いていた。


ちょうど梅雨の時期だったけれど、その日はそれくらい1日中よく晴れていた。


今日も淡々と終わっていく、平凡な日常。


放課後になる頃には、空は澄んだ青から今にもメラメラと燃え出しそうなオレンジに、グラデーションを描きながら変わっていこうとしていた。


「ミオ、私たちも帰ろー」


高校生になって新しくできた友達二人が、あたしに声をかける。


「うん、そうだね」


返事をして、荷物をまとめてスクールバッグのファスナーを閉める。


バッグを肩から提げて三人で教室を出る。


そして、廊下を歩きながら隣のクラスの教室を窓越しに横目で見た。


ガラリとしたその教室に、一人だけ、いた。


あたしはその姿を知っている。


「……ちょっといいかな」


あたしは二人に声をかけた。


この瞬間、自分が何を思ったのかは自分でもよくわからない。


でも、確実に言えることがただ一つだけある。


それは――。





あたしの歯車が、狂いだしたということだ。


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