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「どうしたの急に。最近話しかけてくれなかったから少し心配したんだよ?」
屋上にて。
状況がつかめないままここに連れて来られたシイナが言った。
「あーそう。前まではそう言われると素直に嬉しかったけど、今となってはありがた迷惑だわ」
しばらく切っていない横髪を耳にかけながら、あたしはそう返した。
実際、あんたのその言葉は本当なのだろう。
あたしには、それがわかる。
あー確かに大変そうな気がする、これ私もたぶん疲れそうだわ、とあたしの後ろで二人が笑いながら言っていた。
――バカじゃないの。
こんな一瞬でわかるわけないじゃん。
ていうかわかってたらあたし、そもそもシイナとなんて関わってないから。
それくらい少し考えれば誰だってわかるでしょ。
ただあたしの機嫌を取っていただけなんだってことくらい、あたしは知っていた。
知っていて一緒にいるなんて、ほんとどうかしてる。
認めたくないけど、もしかするとあたしは本当にお人好しなのかもしれない。
……なんだ、あたしもバカじゃん。
あぁでも嫌だなー、こんなのと同じ部類なんて。
今まで賢く生きてきたつもりだったのに。
まあでも、彼女たちの存在は今はどうだっていい。
あたしにとってはこの人たちも、言ってしまえば上辺だけの“オトモダチ”だから。