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6月20日




朝を象徴する真っ白な光が、窓を貫いてまだ寝ているあたしの顔を照らした。


「……今日も、雨降ってないんだ」


6月20日。


梅雨真っ盛りだというのに晴天が続いてばかりで全然雨が降らない。


本当に梅雨になったのかと疑いたくなるほどだった。


……それにしても。


嫌な夢を見たような気がする。


“嫌”というよりは“変”と表現すべきか。


内容なんてほとんど覚えていないのだけれど、なんとなく、気持ち悪さが残っている。


なんていうか、こう……。





あたし、もうすぐ死ぬんだ。





そういう感覚があった。


どうしてかはわからない。


今はまだ、なんとなくという感覚でしかなかった。


確信や実感に変わるのが怖いというのも、もしかすると理由の一つかもしれない。


事故なのか病気なのか、それとも事件に巻き込まれるのか自ら死んでいくのか……まあ最後のは絶対にないと思うけど。


とりあえず、あたしがこれから過ごすかなり近い未来に“死”があるのだということは、“なんとなく”というその感覚でわかった。


はっきりしないのが、なんとも言えない気持ち悪さである。


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