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「あら、ミオおはよう」


一階に下りるとお母さんが朝食を作っていた。


「天気、最近晴れすぎじゃない?」


あたしは言った。


「もう少し雨降ってもいいと思うんだけど」


お母さんはどう思う?と聞くと、なぜかお母さんは目を丸くしてこちらを見ていた。


一体あなたは何を言っているの、とでも言いたげな表情だった。


顔でその言葉をあたしに投げかけ、今度は声に出して言った。


「昨日は大雨だったから、私が送り迎えしてあげたじゃない。ミオったらもう忘れたの?」


「……………………え?」


そう……だっけ…………?


「いつも勉強頑張ってるみたいだから、疲れでも出てきたんじゃない?たまにはリラックスした方がいいわよ」


……別に勉強を特別頑張っているわけではない。


疲れたという感じでもない。


あの“変な夢”のせいなのだろうか……。


確かその夢の中では、割と明るい景色があったような気がする。


いやでもまさか。


もう何百日も過ぎていったような夢だった。


そんな長い夢を見ることが、普通に考えてあるのだろうか。


「……まあ、そうする」


モヤモヤした何かが残りながらも、あたしは朝食を食べていつものように登校した。


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