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自分で距離を置いたくせにシイナと自分から関わりにいくなんてまっぴらごめんだったけれど、それでもあたしは動いていた。
6月20日。
その日の昼休み、あたしはシイナの教室に行った。
今朝の得体の知れない寒気を確認するためでもあったのだろうと思う。
「シイナ」
呼ぶと、こちらを振り向く。
誰も彼女に駆け寄ってこない様子を見ると、相変わらず友達と呼べる友達はいないようだ。
それが関係しているのかどうかは定かではないが、心なしか嬉しそうに見えた。
面倒なことにならないといいけど。
自分から声をかけておいて、そう思う。
「屋上行かない?ご飯、一緒に食べよ」
うん、という返事はなかった。
だけどその代わりというか、シイナは満面の笑みをこちらに向けていた。
ここまでくれば不気味というか何と言うか……。
ほんと、厄介な人間と厄介な関係を築いてしまったものだ。