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二限目は数学。


特に教室を出る用事がなかったあたしは、一限目が終わって二限目まで、ずっと席に座っていた。


ベランダっぽくなっている廊下は蒸し暑いしね。


冷房の効いた教室にいれば、無駄な汗をかかなくて済む。


…それにしても。


平凡すぎやしないか?


違和感というか嫌な予感というか、そういったものがまるでない。


昨日までと、確実に違う。


油断してしまいそうなくらい静かだ。


昨日までなら、自分の中のどこかで危機感も生じていた。


なのに。


なのに、今日に限ってこんなにも違和感がないのはなぜだろう。


どうして…?


これがいわゆる、嵐の前の静けさ…?


これから一体、何が起こるっていうの?


シイナに殺されるとわかってからずっと抱いていた違和感や危機感が、今日突然なくなった。


あたしにとっては、それが一番気持ち悪かった。


それが一番、怖かった。


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