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Parallel World【これから】
「あー、もう卒業なんだね。つまんなーい」
「早かったね、この三年間」
「お前ら、この後どうすんの?」
「あたしは有意義な春休みをもっと有意義に過ごす」
「私はとりあえず合格発表があるから…」
「いやそっちじゃなくて」
「え?じゃ何?」
「今すぐのことだよ。何かやることでもあんの?」
「別にあたしはないけど…。シイナは何かある?」
「私も特にないよ。リック、どうかしたの?」
「…じゃあちょっくら付き合ってくれ。特にシイナ」
「えっ…私?」
「えーちょっと何なの?あたしはー?」
「ミオにもいてほしい。立会人っつーか、証人になってもらいたいんでね」
「証人?……あーはいはい。なるほどね!いいわ、引き受けてあげる」
「よし。サンキューな」
「しっかり見といてあげるから、ちゃんと言いなよ」
「わかってる」
「え…?二人ともさっきから何を…」「シイナ」
「は…はい!」
「俺と、付き合ってくれませんか」
「………………!!」
――うん。男らしくてよろしい。さて、シイナは…。
「あの…えっと…。わ、私なんかでよければ」
「はーい二人とも合格ぅぅぅぅ」
「ミオ…知ってたの?」
「知ってたも何も、入学したときからバレバレだからね。二人とも、顔に出すぎ。早くくっつけよ、って思ってた」
「ミオ!お前鋭すぎ!」
「ふふふ…。あたしの趣味は人間観察ってことを知らないのかね」
「私も知らなかった…」
「まぁ当然だよね。今作った趣味だもん」
「今……!?」
「そ!でも、シイナとリックを見てるとこっちまで幸せになっちゃう♡結婚式には呼んでね♪」
「じゃあミオ。ミオの結婚式にも呼んでね♪」
「当然。リックよりも素敵な男性見つけてやるわ」
「え。もうそういう流れ!?」
「そーよ、鈍いぞ少年。ほら、せっかく彼女できたんだから、記念撮影でもしよっか。あたし撮ってあげるけど」
「いきなり2ショットは…!」
「どこまで照れてんのよリック。ほら、もっとシイナの方に寄って」
「あの、二人とも」
「シイナ?」
「何でごさいましょーか?」
「三年間ありがとう。これからも、よろしくね」
優しく包む風。
静かに散っていく桜の花びらは、ふわりふわりと春の空を舞っていた。