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屋上で吹く風は、教室に入ってくるものとは全くの別物だった。
こんなにも風って気持ちよかったんだっけ。
気にしたことなんてなかった。
この風が当たり前だと思っていた時間がもったいないと思った。
「気持ちいいね、風」
笑みを浮かべてミオは言った。
「特に今日の風は特別な気がする。きっとシイナが一緒だからだね」
私は何も言わなかった。
彼女の言葉なんて一文字も耳には入っていない。
聞いていたとしても、私は微笑んだままで済ませるだろう。