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でも違うのだ。


どんなにやり直そうとも、ミオは1人の親友だった。


それが表面だけの薄っぺらいものだとはわかっていたけれど、疑いたくなかったのだ。


信じていたかったのだ。


だから私は殺せなかった。


殺したくなかった。


そんな世界がどんどん積み重なっていくうちに、ミオではなく私が生きていた“あのとき”が異常だったのではないかと思うようになった。


リックの言う“甘い考え”がこういうことだということは理解していた。


……だけど。


私の会うべきミオは、殺すべきミオは、もうどの時間にもいないような気さえした。


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