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「……ねえシイナ」


控えめな声が耳に届いた。


窓の外を見ていた私が振り返ると、そこにはミオがいた。


「昨日はごめんね。なんか、余計なこと言っちゃったみたいで」


――昨日?……あ。あのときのことね。


別にもうどうだっていいんだけど。


「大丈夫。こっちこそ大声出しちゃってごめん」


なんて、思ってもいないことを作り笑顔で返した。


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