恋日和〜春〜
楽しい時間はあっという間。だけど、何だか違和感を感じていた。涼と時希くんのこと、もっと前から知っているような、そんな感覚。ーーー
涼はお家まで送ってくれた。
「行きも帰りもありがとう。」
「ん。ちゃんと休めよ?」
「うん……」
「じゃ」
「……ねぇ」
離れた涼の背中に向かって叫ぶ。
「……何?」
「あの、さ……….やっぱりなんでもない」
「……そ。じゃあな」
「ばいばいっ」
涼の姿が見えなくなるまで外にいた。
……昔のことを思い出そうとすると、頭の奥が痛くなる。あまりの痛さにしゃがみこむと、玄関のドアが開いた。
「音和….!どうした?」
「悠….く……」
私の意識はそこで途絶えた。