恋日和〜春〜
「音、花村さんのところ行くけど……」
食べ終わった頃、隣に座る涼に突然話しかけられる。
「え、行くっ!」
「……てことで、行ってくるから」
そう言って早くも歩き出す涼。
「……え、あ、待って!」
そう言って急いでお弁当を片付ける。
「音和、お弁当箱置いていっていいよ!持ってくから!」
「ありがとうっ!行ってきます」
ラウンジを出ると涼は待っていてくれたみたいで、ルーフガーデンにあるベンチに座っていた。
「……お待たせしました」
「ん。」
「.…ありがとう」
「……何が?」
「待っててくれて、ありがとう」
「別に……」
そんな冷たい返しでも何だか嬉しくて、笑みが零れる。