恋日和〜春〜
「音、車呼ぶから待ってて」
「車……? 」
「一応、専属の運転手がいる。あまり呼ばないけど」
「そうなのね……」
さすが、高瀬家……
涼が電話をかけると5分もしないうちに黒のセダンがやってきた。
運転手さんは諌山 海外さん(いさやま かいと)という若い男性。なんと、悠くんと同級生だった。
ーー「送っていただき、ありがとうございました」
「いーえ! 悠都によろしくっ! 」
「はい! ……涼も、ありがとう」
「ん……風邪引くなよ? 」
「ふふっお母さんみたい! 」
「……せめてお父さんにしようよ」
「だって〜」
ガチャーー
涼と話していると、玄関が開いた。
「音和? 」
「お父さん、ただいま。送っていただいたの。涼と運転手の諌山さん」
「涼くんに海外くん、久しぶりだな」
「「お久しぶりです」」
「……お父さんたち、知り合いなの….? 」
「ん? あ、あぁ、まあね」
「お父さん、どこかへ行くの? 」
「翔に呼ばれてね……」
「高瀬先生に……? 」
高瀬先生とは、涼のお父様。
内科の先生。といっても、私の担当医ではないのてなかなかお会いする機会はない。