恋日和〜春〜
「…高瀬 涼(たかせ りょう)。」
彼はそれだけ言って読んでいた本に目を移した。
「ごめんな。愛想なしで。昔っからこうでさ。ちなみに涼も伊月と同じバスケ部。」
説明してくれたのは時希くん。
「昔っから…?」
「ん?あぁ。涼は従兄弟なんだ。」
「そうなんですか……」
「あのさ…音和って呼んでもいい?」
美朝ちゃんが遠慮がちに聞いた。
「……もちろんです!」
「じゃあ、私も音和って呼ばせてもらうわね。」
うーん……天堂さんは「ちゃん付け」のイメージがないなぁ……でも「さん」はなぁ……
でも、他に思いつかない……
「うん。じゃあ私は冬結ちゃんって呼ばせてもらいます。」
「えぇ。」と笑顔で了承してくれた。
しばらく会話をしてそれぞれ席に戻った。