恋日和〜春〜
ーー「ほい、鍵!」
「時希ありがと〜。」
ラウンジは個室になっていて大きめの丸いテーブルに椅子が6脚置いてあった。
座席は右隣に冬結ちゃん、その隣に美朝ちゃん。左隣に高瀬くん、林田くん、時希くんが座った。
「いえいえ。飯食おうぜ。」
「そうね。食べましょう。」
「「いただきます」」
……クラスの子と一緒に“いただきます”と言ったのはいつ振りだろう。いやーー初めてのこと。幼少期は午前中だけ保育園に行ってたためご飯はお家で食べていた。小学校、中学校ではお弁当で、声を揃えて挨拶をすることなんてなかったのだ。
「音和のお弁当小さいわね。」
「そうかな…?もともとあまり食べないの。」
「ねぇ、音和。お弁当自分で作ってるの?」
「うん。大体は自分で作ってるよ。」
“大体は”と答えたのは体調が悪い時はお母さんに作ってもらっているから。